Clara Nguyen 12月 7, 2020

MEDICAL

医療施設での持続可能な3Dプリンティングプログラムの構築

3D技術は、過去20年以上にわたって医療に変革をもたらしてきました。パンデミック時の迅速な解決策から、パーソナライズされたデバイスの設計と製造、複雑な臨床手順の計画、将来の医療専門家のより効果的なトレーニングまで、学際的に利用されています。 トレンドの研究では、2021年までには外科医の25%が手術前に患者の3Dプリントモデルを使ってシミュレーションすると予測されています。 3Dプリントと3Dモデルを使った術前計画は、患者、医療、コスト面で明らかなメリットを持つ新しいスタンダードになりつつあります。

先日開催されたウェビナー「3D Printing in Medicine」では、北欧地域の主要病院の医療従事者が、どのようにして自施設で3Dプリンティングプログラムを構築することに成功したかを発表しました。ここでは、彼らの経験から得られた3つのカギを紹介します。

D1. 小さく始めて、共同作業から構築する

ウェビナーでは、ほぼすべてのスピーカーが異なるチームや部署間のコラボレーションの重要性に言及しています。フィンランドのTampere University Hospitalの医用画像部門の部長であるDr. Irina Rinka-Kiikkaは、次のように述べています。「顧客のニーズに耳を傾けることは、私たちの戦略にとって重要な基礎となります。この対話のための時間は貴重であり、仕事の重要な部分を占めています。」

彼女の同僚であるDento-Maxillofacial RadiologyのスペシャリストであるDr. Antti Lehtinenは、「目の前のタスクを考えながら、自分のチームのことを考え、現在のオペレーションに必要な専門知識を持ったチームを拡大する必要があります。自分たちが何を求められ何をしているかをわかっている適切な専門家のチームワークが非常に重要です。そして、それが最良の結果をもたらすカギとなるのです。」と話します。このように、病院内の実際のニーズから有機的にチームが形成され、異なる分野にまたがる新しい革新的なアプローチを決めるための協力的なパートナーとなるのです。

デンマークのAarhus University Hospitalの3Dプリンティングセンター長であるJoakim Lundtoft Lindhardt氏が説明するように、コラボレーションにおけるもう一つの重要な要素は、「近くにある」ことです。「私たちが開発している現場により近いことがカギとなります。つまり、3Dプリンティングラボを始めようと考えているのであれば、実際にクリニックの近くになければなりません。また、病院を拠点としている場合は、イリーナが述べたように、チームメンバーとの緊密な対話を促進することにつながります。対話が容易になることで、より密接な協力関係を継続する機会が増えるのです。

quote

顧客のニーズに耳を傾けることは、私たちの戦略の重要な基礎です。継続的な対話とフィードバックが、新しい実用的なアイデアを生み出します。 この対話のための時間は貴重であり、仕事の重要な部分を占めています。
- Irina Rinta-Kiikka, Head of Department of Medical Imaging, Tampere University Hospital, Finland

2. 正しいセットアップから始める

Joakimはまた、Aarhus University Hospitalで彼がそうであったように、3D技術を扱うことができ、3Dラボと病院の架け橋となるような献身的な人が中心になってスタートすることを提案しています。 必要に応じて、そのチームは臨床的な要求に応えるために、より大きな専門家チームに成長させることができます。最初から適切な人材を3Dラボに配置することで、外科医は3Dプログラムの知識が不完全であっても、より良い計画を立て、より良い準備ができるというメリットがあります。しかも、すべての時間を節約しながらです。

Joakimは次のように説明しています。「今では、私たちの稼働率が高いので、各部門が独自の知識を身につけ、独自のソフトウェアと3Dプリンタを購入しなければならない場合よりも、はるかに高い割合でソフトウェアと3Dプリンタを利用することができるようになりました。私たちは一日中3Dプリントに専念しているチームであり、そうすることで3Dソフトウェアや3Dプリントをかなり使いこなせるようになっています。一方、臨床のスタッフは手術でスケジュールが埋まっており、3Dプリントの知識を得るための時間はほとんどありません。そのため、院内3Dラボを成功させるためには、3Dプリンティングの専門家と外科の専門家というように専門性を分けることが最適であると考えています。私たちは、十分にコラボレーションすることで、両方を統合することができます。」

さらに、彼とラボのチームは当初、独自のソフトウェアを構築することに興味を持っていましたが、すぐに Materialise ソフトウェアが専門的で自分たちのニーズに適していることに気付きました。重要なことは、このソフトウェアは病院の要件である登録医療機器であることです。現在、彼らは病院の10の部署の仕事をしていますが、その90%にMimics、Mimics InPrint、ProPlan CMF、3-maticを使用しており、Materialiseチームから設計上の問題について日々支援を受けています。

3. 伝えるだけではなく、見せる

3Dプリントプログラムの構築と拡大のための資金提供を受けるために、ウェビナーの講演者は以下のことを実際にモノやデータを見せながら説明しています。

  • 具体的な造形物
  • 手術時間の短縮
  • 患者の利益になる可能性を示している研究成果
  • 手術精度の向上
  • 品質管理の簡素化
  • ワークフローの標準化

さらに、講演者の多くは、3DプリントのためのMimics InPrintと、3D患者モデル、計画、デバイスデザインのインタラクティブな表示とフィードバックを可能にするMimics Viewerの両方を使用することによって得られた、教育のための素晴らしい機会について言及しています。

The team from Aarhus University Hospital Denmark with 3D-printed jaw

2018年にAarhus University Hospitalに院内3Dプリントを導入したチーム
From left to right左から: Jytte Buhl, Senior Consultant Maxillofacial Surgeon and Head of Education, Joakim Lundtoft Lindhardt, Head of 3D Printing Center, and Birgitte Jul Kiil, Head of Department for Plastic and Breast Surgery.
Photo credit: Tonny Foghmar

実際、スウェーデンのKarolinska University Hospitalで頭蓋顔面疾患の患者フローを担当するDaniel Danielsson氏は、3Dプランニングの鮮明さは、患者について知らなかった別の問題をチームに警告することが多いため、手術室での時間が常に節約されていると言うことを躊躇していました。彼は、「精度は素晴らしく、3D解像度は手術計画を行うためのディテールが際立っています」と説明しています。「手術時間を短縮することができるというのは、個々の患者さんにとってはそうかもしれませんが、3Dの視点から実際に見ることができるようになったことで、修正すべき点がより多く見えてきました。そして、患者の転帰の質が向上しています。」と話します。

ウェビナーで講演した北欧の病院では、院内に3Dプリンティングプログラムを持つことによって、患者ケアの質の向上やコスト削減などといった明確なメリットを得ることができると確認し、プログラムの拡大を選択しています。 このウェビナーから、ヘルスケアにおける医療用3Dプリンティングは単なるトレンドではなく、患者治療の新たなスタンダードになりつつあると結論付けることができます。

※上記は海外での事例です。
L-101741-01

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