ガウディ特有の建築スタイルを3Dプリントで再現

ガウディが前任の建築家を引き継ぎ、正式にサグラダファミリア設計の責任者となったのは1882年。当時からガウディは平面の図面に加えて手作業で立体の模型を製作し、聖堂全体をバランスの取れたデザインに仕上げようとしていました。 ガウディの描いた青写真の多くが1930年代のスペイン内戦で灰となってしまった以降は、彼の意図を推測する形でサグラダファミリアの建築が進められています。新たに建てる部分が聖堂全体の複雑な構造とうまく調和するよう、手作業での模型製作も続けられました。

しかしねじれや尖った先端が多用されるガウディの風変わりな建築スタイルゆえ、このプロセスが時間とコストのかかるものだった事は想像に難くありません。 そこで設計チームが2001年に導入したのが3Dプリント。3Dプリントがもたらす造形の自由度は、ガウディの複雑なデザインを視覚化するのに最適と判断されたのです。

 

便利なSTL編集機能がサグラダ・ファミリアでも活躍

大規模な建築プロジェクトではサイズが大きく複雑なファイルを扱う事が頻繁にあるもの。こうしたファイルの分析・修正も効率的に行え、ほんの数分で造形用に最適化できる Materialise Magics はサグラダファミリアの設計チームにとって欠かせないソフトとなりました。 複雑なファイル修正に特に役立つのが修正ウィザードやラッピングと呼ばれる機能。共に自動修正ツールで、同時にも片方だけでも使用する事ができます。

例えばラッピングは、そのままでは3Dプリント不可能なデザインを造形可能な形状に変換するツール。元のモデルの表面にラップのように薄い層を被せる事で、細かなデザインはそのままにエラーを修正します。更に複雑なアルゴリズムがモデル全体をほんの少し収縮させるため、元のデザインの寸法が保たれるという訳。

 


例えばラッピングは、そのままでは3Dプリント不可能なデザインを造形可能な形状に変換するツール。元のモデルの表面にラップのように薄い層を被せる事で、細かなデザインはそのままにエラーを修正します。更に複雑なアルゴリズムがモデル全体をほんの少し収縮させるため、元のデザインの寸法が保たれるという訳。
 


一回では3Dプリントできない程大きな模型はいくつかに分けて出力される事も。その際には カットと呼ばれるツールが活躍します。複数に切り分けたパーツそれぞれにコネクターピンや穿孔を組み込めるこの機能を用いれば、造形後の部品を完璧に組み合わせる事が可能になるからです。 ファイルを造形用に最適化させたら、カラージェット3Dプリンタを用いて出力。フルカラーの3Dプリントができるこの造形方法は、建築模型の製作に多く利用されています。
 


完成が近づく聖堂

Magics の活躍も手伝って、サグラダファミリアの建築は現在急ピッチで進行中。精細な模型を短時間で製作できるようになって以降、建築家たちはガウディの残した青写真の分析やコンセプトの考察により多くの時間を充てる事ができるようになりました。 ガウディが生涯を費やして設計した聖堂は、彼の死後100周年となる2026年にその完成が予定されています。

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